育休退園問題:子育て支援の課題と市民の声

皆さんこんにちは!ナカラルブログ編集部です!今回は現在SNSを中心に話題になっている情報を取り上げてみたいと思います。所沢市の市長選で初当選した小野塚勝俊市長(51)が「育休退園制度」を廃止すると宣言致しました。この記事では、育休退園制度の概要とこうした政策がもたらす問題点に改めて触れていきたいと思います。所沢市では、自民・公明両党推薦で4選を目指していた無所属現職・藤本正人さんを破り初当選した。県議会で自民が提出した子どもだけで外出させることなどを禁じる「虐待禁止条例改正案」をめぐって、保護者らの反発で撤回する騒動があったようです。市の育休退園制度とともに子育て世代の関心を呼んだことが小野塚新市長の当選を後押ししたとみられているようです。市民の声が行政を変えた事例ということで今注目が集まっています。それでは、本題に入って参ります。

 

1.育休退園とは何か?

所沢市の新市長が廃止した育休退園とは、「保護者が第2子のために育休を取ると、上の子が強制的に保育園を退園させられる制度」です。これを聞いて、そんな制度があったのかとお感じの方もいらっしゃるかも知れませんが、これは同市で2015年から続く制度です。また、他の自治体でも濃淡の差はありますが、育休退園になる運用をしている自治体もかなりの数が存在します。保育園を考える親の会が、首都圏の主要市区や政令市の100の市区を対象に実施している調査「100都市保育力充実度チェック」によると、202241日現在での回答自治体の運用は、子供の月齢によって判断がことなるようです。中でも所沢市は、2歳児クラス以下は原則退園という他の自治体と比較しても最も厳しい対応を取っていました。

 

2.育休退園制度の目的は?

所沢市が公表している「健康福祉常任委員会会議記録」では、この育休退園制度の目的と効果についての記述があります。この記録の中で担当課長は、「保育を必要としている方に保育が提供できるように、と目的を示してきたところです。一方で、待っている方が年度の途中で入園できるということになりますので、待機児童対策としての意味合いもあると認識しているところです。ちなみに年度途中の入園ですが、平成28年度中に公立保育園で95人、全体では353人の方ができています。」と発言しています。ここから読み取れることは、育休退園制度の目的は「保育を必要としている方に保育を提供すること」であるとしています。また、具体的には待機児童の解消であると言っているのです。そして実際に待機児童が保育園に入園できたという発言があります。ここでいう「保育を必要としている方」という定義について質問を受けた課長は、「子ども・子育て支援法が施行されたときに、児童福祉法の中で保育を必要とする定義が多々示された中、年長、体の発達の状況で集団生活が

必要だと認めた場合には育児休業中でも保育を必要とする、と国が示しています。それを受けて、所沢市では育児休業中の、0歳から2歳のお子さんについては一旦退園していただく、ただし、市では戻れるような施策を用意したという状況です。」と述べています。つまり、「より必要性の高い保護者のために席を譲る」ということを目的として誕生した制度であることが分かります。

 

3.育休退園制度の良い点・悪い点

行政として待機児童解消を目的として、保育の必要性が高い人に席を譲っていただくための制度であったことがわかりましたが、改めてこの制度の良い点と悪い点を確認しておきます。

 

【良い点】

・待機児童で悩んでいる保護者が保育園を利用できるようになる

・集団生活が必要な児童にそうした環境を提供することができる

・待機児童で悩んでいた保護者が働きに出られる

 

【悪い点】

・第二子出産後育休に入った際、上の子の保育も自分自身で行う必要がある

・産まれたばかりの子を連れて外出もできず、家に引きこもりがちになる

・子供が保育園のお友達と引き離されてしまう(大人の事情)

 

実際に待機児童解消で入園が叶った保護者の方々には喜ばしい制度だったのかも知れませんが、第二子出産で退園が決定してしまうのであれば、第二子を授かることを躊躇する家庭も多いことでしょう。待機児童の解消ばかりに目が行ってしまったともいう事ができ、大局観に欠けた政策だったと言えるのではないでしょうか?

 

ただ、同市は一度退園して席を譲った子供が保育園に戻れる年齢になった際には加点を行い同じ保育園に戻りやすくするという対応を取っていました。具体的には100点を加算して確実に戻れるようにしていたと担当課長は委員会の中で発言しております。こうした対応策があったにも関わらず批判が多かったのは、こうしたメリットが正確に保護者に伝わっていなかったことや育児をする親の大変さを市長含め軽んじていたという部分があるのではないでしょうか。言葉だけが独り歩きしてしまいましたが、前市長が「子どもは母親といたい」と発言したことが誤解を招くきっかけにもなってしまったように思えてなりません。

 

4.育休退園問題の解決策の検討

今回の育休退園問題は決して所沢市だけの問題ではございません。程度の差はあれば似通った仕組みを採用している自治体は多くあります。所沢市新市長の育休退園制度廃止にもあるように、最大の解決策は市民が確りと声を上げることにあるのだと感じます。一部の市民は市を相手取って訴訟をしていたようですが、こうした声を上げる行為の積み重ねが行政を大きく変えることに直結するということを改めて認識しました。また過去のしがらみに囚われずに突破力のあるトップをしっかりと選んでいく必要性もあります。

 

さらに言えば、これは行政の問題だけではございません。子供を預かる保育園が行政の枠組みの中で過ごすのではなく、保育を担う専門的な立場として行政に働きかけていく必要があると思います。古き良き保育も大事ではありますが、大胆に物事を捉えて変化を拒まない、そんな保育園経営を行っていただける保育園が少しでも増えることが保育環境を適正に整えることに繋がっていくのではないでしょうか。

 

 

いかがでしたでしょうか?令和の時代に違和感を覚える制度は様々ありますが、近年こうした過去にとらわれない大胆なリーダーシップを発揮される市長が多く登場されている点は非常に好感が持てますね!引き続き、ナカラル()ブログ編集部では子育て・保育関連の記事をアップしていきますので、ご覧ください!!